「何しに来たんだよ!」

あいつは、こっちに来ると、
心さんに向かって、小声で話した。

「いや~、ついでだから、
お前も乗せて帰ってやろうと思って。
もうそろそろ、帰るだろ?」

心さんには、何も言い返さず、
あいつは、私のほうに向き直った。

「お前もなんで、
のこのこ、ついて来んだよ、まったく。
馬鹿全開だな。」

いつもの
辛らつな
聞き慣れた

・・言葉。

「あ、ごめん。
邪魔しちゃって。」

目を合わせないでいる私に、
あいつが何か言いかけた時、
さっき話していた、初老の男性が、
自分で車椅子を押しながら、近づいてきた。

「おや、可愛いおじょうちゃんだね~。
清ちゃんの、コレかい?」

コレ、と言いながら、
彼は小指を立てた。