部屋に着くと、すごくきれいに片付いていた。
「なんか、また介護関係の本が増えてない?
ん?“重症児の保育と指導についての教書”?」
ぱらぱらと本をめくると、子供とのコミュニケーションのとり方や、
運動の発達を促す方法などが、びっしりと書かれてある。
「難しい本だね」
「本だけ読むとな。実際に関わってみると、確かに難しいけど、
やりがいもあって、楽しいぞ」
楽しそうな声で、清が笑うから、私も嬉しくなる。
「ボランティア、うまくいってるんだね」
「まあな。学生だし、できることなんてたかがしれてるけどな」
「そんなことないよ!!きっと、喜んでる人がたくさんいるよ!!」
私の力強い声に、驚いた顔をして、清の大きな瞳が、さらに大きくなった。
それから、ちょっと照れたように笑って、
ありがとな、と呟いた。


