「おい!
きびきび歩けよ。
俺がいつも乗ってる電車に
間に合わねえだろうが。」
ちっ!という舌打ちとともに、
あいつは、不機嫌そうに私の方を振り返った。
「そんなこといったって、コンパスが違うんだから、
しかたないでしょ!」
てっきり置いていかれると思ったのに、
本当に同じ電車に乗るつもりらしい。
一体どういうつもりなんだろう?
小走りで、あいつに追いついたものの、
横に並ぶのには抵抗があったので、少し後ろで、
つかず、離れずの距離を保った。
「確かに、その足の短さじゃ、歩くの大変だよな。
駅に着くのは夕方か?」
あいつは、私の頭からつま先までを
じろじろ眺めたかと思うと、まるで哀れむような口調で、そう言った。
ふう~
という、わざとらしい、ため息のおまけつきで!
むっとした私は、
速度を上げてあいつを追い抜くと、
そのまま後ろも振り向かず駅へ突進した。
ほんっとうに、
むかつく!!!


