「お前、顔中砂だらけだな。」 あいつは私の頬についた砂をやさしくはらってくれた。 「だって、泣いちゃったから、 濡れたところに砂がくっつくんだよ。」 砂浜に横向きで寝転がっている私の顔は、 確かに砂まみれで、あまり美しくなかったと思う。 「まったくお前は、 いっつも、ピーピー泣き喚いて、 ほんと、ガキみたいだな。」 さっきまでのやさしさが嘘のように、 あいつは、にやっと、笑った。