「当時、俺は親父と色々あって、
ちょっと荒れてたんだ。
で、親父に女がいるって聞いて、
無性に腹が立って。
その女に娘がいるって言うから、
こっそり見に行った。」
遠くで、楽しげな笑い声が聞こえる。
波の音は、かわらず、規則的に
リズムを刻む。
「それで?」
「そしたら、お前、
公園で、子供たちと遊んでて。
なんか、一生懸命だな、ってずっと眺めてたら、
そのうちの一人を家まで連れて帰った。
娘一人って聞いてたのに、
小さな息子までいるなんて、
親父はだまされてるんだって思って。
親父を困らせてやりたかったのに、
だまされてると思ったら、
今度は相手の女に無性に腹が立って、
親父を守んなきゃって。
で、親父に内緒で、
お前の母親に会いに行った。」


