「大野さんが、どうかしたの?」


「いや・・、
あいつが、
お前を見かけたって言ってたから・・。」


珍しく、あいつがぼそぼそと、
聞き取りにくい声を出す。


「駅前の、コーヒーショップで、
中年の男と、楽しそうに話してたって・・。」


「え?
大野さん、あそこにいたの?」


驚いて、肯定したも同然の発言をしてしまう。

店の中に、学校の生徒がいないことを確認してから
入ったのに、
外からでも、見られていたのだろうか。


「お前さ、
もっと、自分のこと大事にしろよ。」


私から視線をはずして
あいつは、背中を向けた。


「再婚が嫌なら、
俺がぶち壊してやるし、

大野のことは・・、
ちゃんと、けりつけてやるし。

それ以外になんかあるなら、
力になってやるから。

だからさ、

もっと俺を頼れよ。」