「大野って、D組の、 大野沙織(さおり)のことか?」 気のせいか、あいつの顔が いつもよりも怖い。 「下の名前は知らないけど、 D組だよ。 確か、中学のときは、バスケ部だって。」 私の言葉に、 栞は、やっぱり、というように ため息をつき、 あいつは、眉間のしわをますます 深くした。 間違いなく、怒ってる。 でも、何に? 「他に・・何された?」 あいつは、私の手の甲をあごで指しながら、 「それもだな?」 と確信を持って聞いてきた。