帰り途。
「ねぇ、ひかり。
今日、クラスで、なんかあった?」
栞が、探るように、私に話しかけてきた。
「なんかって?」
「う~ん、うまくいえないけど、
誰かに、なんかされた、とかさ。」
栞の鋭い質問に、うまい答えが返せない。
後で、栞には相談するつもりだったけど、
あいつに聞かれるのは、嫌だった。
「・・べ、つに何もないと思うけど、
なんで?」
「・・ボール当てたのって、
大野さんでしょ?」
“大野さん”
のキーワードに、体が硬直する。
「当てた、っていうか、パスされただけだよ。
それに、取れなかった私が悪いんだしさ。」
あはは、と苦笑いすると、
少し後ろを歩いていたあいつが反応した。


