・・・ここは、何処だろう。
目を凝らすが、真っ暗で何も見えない。
耳を済ませると、誰かの声がしている。
泣き声?
声のほうに歩いていくと、
小さな女の子が声を殺して泣いていた。
あれは・・・
私だ。
うっすらと、
夢を見ているのだと、自覚する。
あれは確か、お父さんに、
捨てられたと、知ったとき・・。
実の母が死んだときは、幼かったので、
死ぬってことがよくわからなくて、あまり悲しくはなかった。
父がいつも一緒にいてくれて楽しかったし、
とても優しくて大好きだった。
父が再婚すると知ったときも、実の母への思いよりも、
父を取られるんじゃないかと不安だった。
だから、
父が出て行ったときは・・、
信じられなかった。


