しかし、
「痛~い!」
と声を出したのは、
私ではなく、
私がひっかかった、足の持ち主だった。
確か、隣のクラスの子だ。
「ごめんなさい。」
相手が足を出したような気がしたが、
ぶつかったのは、私なので、
とりあえず、あやまった。
ボールを拾って、
再び大野さんにパスする。
私のパスは
さっきよりも勢いがなく、
バウンドすると、転がった。
大野さんのすぐ脇を
大野さんの後ろへと転がっていく。
「あ、ごめんね。
倉本さんが投げたのに、
気づかなかった。」
大野さんは、笑っている。
「ごめん、声出すの忘れてた。」
私は、大野さんの方に走って、
ボールを取りに行った。
声は出さなかったけど、
私が投げたところ、
大野さんは見てたよね?
なんだか、嫌な感じがした。


