「まず、2人組になって
パスの練習だ。
向かい合って並べ!」


いつも、2人組みというと、
何も考えずに栞と組んでいた私が
困っていると、

誰かが肩を叩いた。


「私とやろうよ。」


クラスの中で、一番
おしゃな大野さんが
私を誘ってくれた。

私みたいな地味な人間とは、
友達になってくれなそうなタイプの人
だと思ってたので、
すごく嬉しかった。


「私下手なんだ。
ごめん!
先にあやまっとくね。」


「大丈夫。
私、中学はバスケ部だったの。
ちゃんと胸にパスしたげるから。」


その言葉に頷いて、向かい合った。


「よし、パスするときは、
しっかり声出せよ!
じゃあ、始め!」


先生が笛を吹くと、

『はい!』

という大きな声とともに、
大野さんからパスがきた。

宣言どおり、
私の方に、まっすぐに飛んできた。

なんとか、受け止めることはできたが、
両手がびりびりとしびれる。