あいつの目が
鋭く光ったのを見て、

私も、臨戦態勢だと
言わんばかりに、
睨みつける。


「はい、
夫婦喧嘩はそこまで。

急がないと、
本当に遅刻だよ。」


直樹君は、
私たちの間に体を割り込ませると、

あいつと私の手を引いて、
歩き出した。

あいつ、直樹君、私が、
手をつないだまま
横一列になって並ぶ。

端と端で、
睨みあい、
目を合わせると、

お互い
フンッ、と
顔を背けた。

さながら、
直樹君を取り合って、
争っている、

男と女の図だ。

周りの人が見たら、
怪しい3人組にしか見えない。