“ほれたか?” の言葉の途中で、 あいつは、 やっと いつものように、 唇の端を吊り上げて笑った。 嫌味な笑顔なのに、 その顔を見て、 せつない気持ちになる自分がいる。 “そうだよ、 あんたに、 ほれちゃったんだよ!” ココロの中で、 あいつに返答する。 そのココロを ごまかすように、 きっぱりと答えた。 「あんたなんかに、 ほれるわけないでしょ!」