「もう、なによぉ。
初めてなんだから、
笑わなくてもいいじゃない!」

私は、頬を膨らませてみせた。

「~ごぉめん。
だって、
気合の入った
ひかりちゃんの顔が、

空振りしたら、
超、ひきつっちゃって、
おっかしいんだもん!」

範君は、
くったくなく笑うと、

下手だから、
笑ったんじゃないよ、

と、付け足した。

範君は、
私の下手くそな練習に、
根気よく付き合ってくれた。

そして、少しずつ、
返球できるようになり、

ついに、

スパン!

と、いう小気味良い音とともに
会心の球を返すことができた。

「やった!
ねぇ、今のどう?」

私は、嬉しくて、
打ったとたん、
範君に尋ねた。