『私も歩けばイケメンにあたる♪』


違う!
私が好きなのは、

“清”

だよ。


そう言いたかったが、
言葉は喉の奥にひっかかったまま、
出てきてはくれない。


・・お母さんが困るよ。
・・振られたらどうしよう。
・・今のままなら、少なくとも家族になれる。


言い訳ばかりが、
脳裏に浮かぶ。

かろうじて、
首を横に振ったが、

あいつの両手に
挟まれて、
顔は、うまく動かなかった。

私のその様子を、
自分に対する拒否の姿勢と
とったのか、

あいつは、
私の頬から
力なく両手を離した。