『私も歩けばイケメンにあたる♪』


あいつは、
手早く救急箱をしまうと、
両手で私の頬を挟んで
顔をつぶした。

「ら、らり(なに)するの!」

頬を寄せられて、まともな発音ができない。

「ぶす。」

あいつは、
いたって普通の口調で、
一言答えた。



ぶすなんじゃなくて、
わざわざぶす顔にさせられてるんですけど!



ぶさいくな顔のまま睨みつけると、
あいつは、低い声で一言だけ口にした。


「お前、
直樹と
付き合うことにしたのか?」