「おい、 そんなに痛いのか?」 あいつは、 私の様子がおかしいのを、 怪我の痛みと勘違いしたらしい。 「だ、大丈夫。 でも、こんな怪我したの 久々だから、 ちょっと驚いちゃって。」 もちろん、 私がおかしい本当の理由とは、 まったく関係ないが、 誤解してもらったままの方が 助かるので、 怪我を口実にすることにした。 あいつは、 眉間にしわを寄せた。 近すぎる距離に、 私の心臓は、 またしても早鐘を打ち始めたが、 あいつは、体を引くと、 救急箱を片付け始めた。