両手を洗い終わると、 あいつは、自分の部屋に 私を連れて行き、 私の人指し指を 消毒し始めた。 ・・まつげ、長いな。 私の指を見て、 うつむいている あいつの顔を しげしげと眺める。 さらさらの髪の毛と、 筋の通った鼻。 「切れる包丁だから、 かえって、血もあまりでなくて、 痛みも少ないかもしれないけど、 結構、 深く切ってるから、 毎日きちんと消毒しろよ。」 作業を終えて 顔を上げたあいつと 目が合って、 思わず、目をそらした。