あいつから離れようと、 焦って動いた瞬間に、 握ったままの包丁が、 私の左手に当たってしまった。 「つっ!!」 左の人差し指から、 じわりと血が染み出した。 「馬鹿! 何やってる!」 あいつは、大声で怒鳴ると、 私の左手を水道の蛇口に持っていくと、 急いで傷口を洗った。