「ふぅー」とひとつ長いため息をついた。


マスクの中だけ異常に湿度が高い。


朝よりものどの痛みがひどくなったようだ。


「それにしても進藤くんて意外と優しいとこあるよね。いろいろお世話してくれたんじゃん」


「お世話とか言うな。まぁでも意外といいやつだったかもね」


「なになに惚れた~?」


由理は怪しく瞳を輝かせながら私の肩をつついた。


「はんっ。そう簡単に惚れるか」


「つまんなーい。もう高校生なんだからそろそろ捺乃も彼氏つくれば」


「彼氏はつくるものじゃなくてできるものでしょ」


「律儀だねぇ。とにかく恋しな捺乃。青春は今だけだよ」


「そう言う由理はどうなの。そっちの方は」


「えへ、秘密っ。あ、先生来た」


「なんだよそれ。なんかずるいよ」