日直当番

「おまえがいるときは大丈夫なんだけどなあ。おまえがいなきゃ俺だめだわ」


「はいはい。だったら私のこと大事にしてよね。『おまえ』なんて言わないでちょーだい」


「失礼しました神崎様!」


皆川は恭しく頭を下げる。


「ばっかじゃん」


麦茶を注ぎ終え、後ろを振り向くと由理が呆然として階段の下に佇んでいた。


「あ、由理…」


「ごめん、やっぱ私帰るね。ふたりの邪魔しちゃ悪いし」


由理はいそいそと階段を駆け上がっていった。


「え、ちょっと由理?」


私と皆川は「?」のついた互いの顔を見合わせた。


私たちが2階に上がると由理は部屋を出るところだった。


「由理いきなりどうしたの?」


「ふたり、付き合ってるんでしょ。どうしてはっきり言ってくれないの?この前ふたりが楽しそうにマックにいるとこ見たし、捺乃は皆川くんのことかっこいいとか言うし、今のふたりの言動も…。それなのに私なんか呼んで、意味わかんない。帰るね」


由理は私と皆川の間をすり抜けるようにして部屋を出て行った。


「もしかして由理…」


「勘違いしてる?」