日直当番

足音をたてないように階段を上って私の部屋のドアに耳を当てる。

耳をよく澄ましてみるけどさっぱり話し声が聞こえない。どうしたんだ?

私がドアを開けると由理は勉強の続きをやっているし、皆川は挙動不審にきょろきょろしている。

私が想像していたのと違うぞ。


「皆川」


「え、あ、ああ」


「あ、飲み物あった方がいいよね。麦茶持ってくるね~」


ちゃんとやれよ、とまた目で訴えかける。

皆川は分かってるよ、というように首をすくめた。

まったく、せっかく私が気を利かせているっていうのにあの男は。

キッチンの冷蔵庫の麦茶をコップに注いでいると誰かが階段を下りてくる足音がする。

皆川だった。


「皆川!あんたバカじゃないの!?私がせっかくふたりっきりにさせてあげてるのに」


「だって俺、ふたりきりになった途端緊張しちゃって。だめだなんも話せねえよ」


「なさけなー」