「どうした悩みか。どれどれお兄さんに言ってみなさい」


「なんでもないよ。本当に」


「神崎、俺、岩戸に信用されてないみたい」


皆川は両手で顔を覆って泣きマネをした。
　

「ドンマイ皆川。そう落ち込むなって」
　

皆川の動きが一時停止した。


「ちょちょちょ神崎」


皆川が椅子ごと私に近づいてきて、由理に背を向けて私に小声でささやいた。


「おまえ岩戸に余計なこと言ってねえだろうな」


「言ってないよ。うん、言ってない言ってない」


私は頭をぶんぶんと横に振った。


ふたりで由理の顔色を窺うように振り向いた。