「かっこいいとか言われて喜んでんじゃねえよ」 「別に喜んでいません。あんなのお世辞に決まってるでしょう」 あの顔でお世辞なわけあるか。 「せっかく新しいメガネ買うなら今時の黒縁メガネとかにすればよかったのに」 「僕はメタルフレームのメガネが落ち着くんです」 「ああそう」 それからというもの、永井さんは進藤くんによくからむようになった。 私はなんとなく進藤くんを避けるようになり、話す機会も少なくなっていった。