向こうからこちらへ来る時はなかった感覚だ。 そんなことを考え、ふと思い出す。 嗚呼、 ヒグラシに伝え忘れた事がある。 「ヒグラシ、君はやっぱり蜩と一緒だよ」 彼がまた怪訝そうに眉をしかめる気配がした。 「君の声もやっぱり、夕暮れの中が1番似合う」 ヒグラシがどんな反応をしたかは、わからなかった。