叔母は長く子供がいなかったから、僕をとても歓迎してくれている。
その引越しの準備の最中だったのだ。
そのはずだ。
しかし、
僕はまだ居眠りをしているらしい。
「母…さん」
目の前の食卓の椅子には、僕が幼い頃死んだと聞かされた写真でしか見た事のない母の姿と、その傍らに佇むひょろ長い男。
母は遺影に使われた写真と全く同じ若い姿。
傍らに佇む男はアーモンド型の目が印象的な細身の男だった。
その男が声をかけてくる。
「俺の事を覚えているか?」
今までの記憶を掘り返す。
15年、生きてきてこんな人物には会った覚えがない。
首を横に振ろうとした瞬間、記憶の洪水に包まれた。
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