チリンチリン―…

入り口の鈴がなる。
中は西洋のアンティーク家具等で統一されていてなんだか違う時代の中にいるようだった。

 恐る恐る奥へ入ると、椅子の並んだカウンターの向こう側でグラスを拭く穏やかそうな物腰の若い男の人。彼の対面の椅子にはとても綺麗な黒髪のビスクドールが座っていた。

ドールの顔はこちらに向けてあってその硝子玉の瞳と目が合ったような気がしてどきっとした。

「いらっしゃい。」

にっこりと微笑むマスターの声で私はドールから目を離した。

「あの…」
「ふんっ馬鹿そうな子!」

「!?…………えぇえっ!?」

 私が口を開いた直後に重なるように口を挟んだのはマスターの前に座るビスクドール。
口先を尖らせてぷいとそっぽを向いていた。

「こら、リリー。お客様にそんな口を聞いては行けないよ。」
「だって…」

…ってゆーか、

「初対面で馬鹿とか言わないでよ〜…めちゃめちゃ失礼だし…。」