「伯父さん、何処に運べば良いの?」

「そこだよ。」


いつも穏やかな顔の耕平伯父さんが指した先を見ると塀に囲まれた一階建ての広い家が目に入った。
家の周りのほとんどが壁じゃなく縁側になってなかの部屋がまる見えに近いのはこの暑い地域で家の中に空気が篭らないように風通しをよくしている為だって前読んでた建築の本で見た。

「良い家だね。」

素直にした感想に伯父さんは嬉しそうに頷いた。逆に晃矢は顔をしかめる。

「そうかぁ?俺やっぱ二階建てがよかった。」

もう二階建てにするほど家族はいないから必要ないだろ。

馬鹿だから高いところが好きなんだ。こいつは。



それにしても、
ここは良い所だ。

空気も美味しいし、海も近い。




なにより、
ここは静かだ。


蝉の声以外は、

ノイズも聞こえてこない。