寝転がり空を眺めていると一つの影が近付いてきた。

その影の持ち主は見なくても分かる。

「ヒロちゃん…」

やっぱり…

「…」

「何があったの?」

優しく聞いてくる沙奈に渋々口を開いた。


「あいつが【ヒロちゃん】って言ったから」


「…それだけ?!」

それだけって…

俺にとっては、重要な事なんだよ。

「でも、【ヒロちゃん】って呼ばれる事、そんなにイヤだったんだね…私も、呼ばないように本当に気をつけるね…今まで、ごめんね」


違う…そうじゃない。


そうじゃないんだ。


俺の隣に座りしょんぼりして、謝る沙奈に起き上がって体勢を調えながら遮った。



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