キクチ・ヨーコにフラれてからというもの、それでもロムは彼女の送り迎えをすべく、毎日、毎日、彼女の家の前に自転車で乗りつけていたんだけど、彼女はもうロムの後ろには乗ろうとしなかったみたい。

それでも、早起きして、わざわざ遠回りをしてまで彼女のアッシーくんになろうとしているロム。

「Fight! ロム!」

あたしは影ながら応援していた。



今日は2月7日―――


バレンタインデーまでには、まだ1週間あった。

だけど善は急げってコトで、とりあげずお菓子屋さんの下見をすることにしたあたし。

放課後、チーコに…、

「美味しいチョコのお店知らない?」

…って訊いたら…、

「あたしのイチオシは“王様のショコラ”だね♪」

…って即答された。

クラスのほかの何人かの女子に訊いてみても、みんなクチをそろえて言うのが“王様のショコラ”だった。