それから数日後…、


ピロロロロロ…、ピロロロロロ…


金曜日の真夜中のあたしの部屋に、ケータイの着信音が鳴り響いた。

“いよいよ、そのときが来たんだ…いったいどんな無理難題を言われるんだろう……”

不安な気持ちにかられながら、枕元のケータイを手に取るあたし。


「も、もしもし…」

「もしもし、最初の指令を伝えるわ」

電話の向こうからキクチ・ヨーコの声が聞こえてくる。

「最初の指令は、あたしのおこづかいを稼ぐことよ」

「おこづかいを稼ぐって……お金を用意しろ、ってコト? あたし、ニッポンに来たばっかりだし貯金とか全然ないよ」

「心配しないで、ちゃんとアルバイトを用意してるから」

「アルバイトって…?」


「あしたの午後2時、池袋駅の“いけふくろう”の前に、目印に白いネクタイをした男の人が待ってるから、その人とホテルに行って3万円もらってきてよ」