「なんでなの…」 「おい、マリア…!」 気付けばあたしは、宮殿を飛び出していた。 戦車とか、 銃声とか、 そんなのは気にならなかった。 怖くなかった。 ただ、ジュンに会いたくて。 そんな一心で、あたしは町を駆け抜けた。 ―――どのくらい走っただろう。 あたりは薄暗くて、お月様が顔を覗かせていた。 そして、あたしが森の中に入ろうとしたときだった――― 「マリア…!」 .