つま先立ちの恋

ショックを受けてただ立ち続けているだけの私。

そんな私にチラリと視線を移したのはフーじゃなくて明人さんだった。

「冬彦サン、お客様ですよ」

ハッとなって明人さんの方を見る。それからフーのことを見たけれど、やっぱりフーは私の方を見てくれなかった。

フーはペットボトルを持ったまま歩き出す。私に背中を向けたまま。私に何も言わないまま。

「フー!」

名前を呼ぶ私の声にも反応してくれない。

「待って、フー…」

慌ててフーを追いかけようとしたけれど、まるでそれを拒絶するようにフーはリビングのガラスのドアを閉ざしてしまった。

「…………フー」