ハナから逃げる気はない。
そのことを示すために一志はMDプレイヤーから伸びたイヤホンを耳に、ひやりとつけた。
MDはMDであるが故に、やがて不親切に音楽が流れ始めた。
何かの光に煽られ、奇しくも外界を見た。
見てしまった。
海がいた。
ただ、ゆったりと腹の内に全ての感情を飲み込んで、海が横たわっていた。
一志は海が電車の踵に魔の手を伸ばさないか心配だったが、それは杞憂に終わった。
海は絶えず、かぷかぷと笑っていた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…