トロッコは静かに澱みの中を駆ける。




やがて、水色の骨でできた森に差し掛かった頃。


出し抜けにトロッコは声を上げた。

それが悲鳴だったので、一志は特に気にしなかった。

悲鳴には一度深く息を吸い、声帯を思い切り震わす必要があり、本当に危険な状態ではそんな苦労はできないからだ。


一志の思った通り、危険はたいしたことはなかった。

ただ、線路が途切れていただけだった。

なくなった線路の先は光の溢れる奈落に繋がっていて、落ちたらまず間違いなく死ぬ。


誰かの性質の悪いイタズラだろうか。

どうであれ、あまり危険そうではなかったので、



 視
  し

   て


    落
    ち
    た
     。