気付いたら走り出していた。 押し花と写真を握りしめて。 あの写真の男の子は絶対あの人だ。 多分あの押し花を私にくれたのもあの人だろう。 そう思ったら急に無性にあの人に逢いたくなった。 だから走り出していた。 あの桜の木がある場所に向かって。 いるかはわからない。 いないかもしれない。 でも、いるかもしれない。 だから、その小さな可能性に賭けてひたすら走った。 ただ、あの人に逢いたくて。