「え……はあ!?」
私は急いで窓まで走り、勢いよく窓を開け放つ。
「ここ二階なんですけど!?」
信じられない、と叫ぶ私にトキがうっせえな、と不機嫌そうに返し、サッシに足をかけて、身軽そうに音楽室の床に着地する。
「入り口がここしかなかったんだ」
ここは入り口じゃないよ…。
「どうやってきたの…」
「校門から入ろうとしたら、なんか先生っぽい人に怒られてな。
「帰れ」って言われたから仕方なく裏に回って登ってきた。んで、ピアノの音がしたから誰かいるんだと思って…」
そしたら運よくお前だったな。−そう言って少し笑ったトキを見て、わたしは軽く頭痛がした。
…とんでもない人と関わってしまった。

