最後まで読んでくださって、ありがとうございました。


このお話は、私の趣味と理想をつめこんだお話です。

実話もいくつか織り交ぜているのですが、なかでもトキの家庭の話は、私が小さいときに家の近所で起こったことです。

ある日、ふとその事件を思い出したときに、「心に傷を負った子供が、もう一度失ったものを見つけるお話を書こう」と思ったのが、このお話を書くことになったきっかけでした。


そして、何より誰もが幸せになれる、優しさがつまった、あたたかなお話を書きたかったです。

同時に、人が必ず持っている黒い部分も書きたくて、それで清水さんというキャラクターが生まれました。
彼女のように陰から光を見つめている人たちはたくさん居ると思いますし、そういう存在もまた傷を負っていることを、書かなきゃいけないな、と。





ヒナと、藤森先生。
この二人にも、とても思い入れがあります。

ヒナがしてしまった「仕事」は、実際この年頃の女の子の間では、よくお小遣い稼ぎとして行われています。そこから犯罪に巻き込まれたり、傷ついたり…。十代の女の子の身近な問題として、どうしても書きたかったものです。

ヒナの場合は、考えた末にやむを得ずしてしまったことですが、こうして傷ついてしまった人にも救いがあるようにと願いをこめました。


そして、藤森先生。
実は、藤森先生にはモデルが居ます。私が過去に通っていたピアノ教室の先生で、私にピアノを弾く楽しさを教えてくれた方です。
「きまりに縛られず、自由に弾く」という先生のスタイルを、そのまま藤森先生というキャラクターに取り入れました。