スタッカート



「ええ!?…ご、ごめん酸欠!?」

驚きで思わずそう声をあげてしまった私に、赤い顔のまま眉間に皺を寄せたトキは、苦々しく言った。

「相変わらず雰囲気の無えヤツだな…」

…雰囲気?
なんかよく分からないんだけど…!

トキの言葉の意味を理解しようと必死で考え出した私の頭上、重いため息が落とされる。
続いて、自爆だ、と呟かれて首を捻った。

自爆…?

「ええっと…ご、ごめん、やっぱり嫌だったよね…。さ、酸欠しそうになるまでキスされるのは…」

「そうじゃねえ!」

強く言って顔を歪めたトキが、続いて何かを伝えようと口を動かす。けれどそれは声にはならずに、ただ数回ぱくぱくと動くだけで――


ここでも、私の勘が珍しく働いてしまった……気がした。


でも、いや、ありえない。

だってあのトキが。

あのトキが…


「も、もしかして照れてるとか?…なーんて、あはははは…は…」