スタッカート



……トキの、おじさん。

今、彼の親代わりになっているという人。


「いつも来るたびに、顔も見ずに帰してた。…だけどいつかはちゃんとした形で会って、話しをしてみようと思う。」


何気ない口調でそう零してこちらに顔を向け、穏やかな表情で言った。


「謝りたいんだ。今までのこと」


−ちゃんと、向き合いたいから。



一段一段、階段を下りていく背中。
その背中は以前よりも少しだけ、たくましく見えた。


佐伯、トキ、トキの叔父さん。


それぞれが背負ったもの。

長い間、凍っていた関係。


これから、それは少しずつ


ひとりひとりにとって良い方向に変わっていくだろうか。




ゆっくりと階段を降りながら、思った。


もしそうなら嬉しい、と。