その声に視線を向ける。 佐伯は穏やかな表情で、金網の向こうのグランドを見下ろしていた。 「音に、人に囲まれて、本当に生き生きしてて。 すごく、輝いてた。 …あの時のアイツが、今はこんなふうになってるなんて信じられなかった。 ……頭の中にあった姿と、全然、違ってた」 だから、と、佐伯は顔をくしゃっと歪めると、続けた。 「ただ、驚いて。…動けなかった」