スタッカート



トキの高校までの道は、やはりいつもどおり二つの学校の生徒で溢れていた。

楽しそうに談笑しながら歩くセーラー服の女の子のグループ、ブレザーを着たカップル。

みんなそれぞれ自分達だけの空間を持ち、そのひとつひとつがアスファルトの道路を染める夕陽の光に溶け合っている。


隣に立っている佐伯にそっと視線を移すと、彼もこちらを見ていたようで視線ががっちりと合う。

目を見開き、また顔を赤くした佐伯に首をかしげつつ、私はさっき気になったことをきいてみた。

「佐伯、もしかしてが熱あるの?」

「…はあ?」

「いや、あの…さっきから顔が赤いから…」

そう返すと、佐伯の顔が更に赤くなる。佐伯はため息をつき、自分の顔を片手で隠した。

その反応に余計に首を傾げてしまう。

いったい何なのだろう。

恥ずかしがっているの?

…何で?

じゃあ、照れてる…?

…何に?

私、何かしたのかなあ…。

目を瞑り、唸りながら記憶をたどる。

教室を出てから今までの出来事のすべてが、映像となって頭の中に流れる。

そこで、私は、はっと目を見開いた。

…わかったかもしれない!

「佐伯!!」

「…何だよ」

顔の赤さは引いていないけれど不機嫌そうな顔をした佐伯が、ため息を吐きこちらに視線を向けてくる。

私は興奮で顔が熱くなるのを感じながら言った。

「佐伯、もしかして清水さんが好きなの!?」

「ぶっ」


.