「トキと知り合ってから、妹は前よりずっと明るく、よく笑うようになっていって。毎日生き生きしてた。
もう初対面の人間に会ってもおびえないようになった。
そうやって少しずつ、妹が変わっていくのを見るのは、兄としてすごく嬉しかった」
佐伯はそこでふ、と表情を緩めた。
その表情からは、妹を思う兄の、心の温かさがじんわりと伝わってきた。
「毎日妹から聞かされるアイツについての話はいいことばかりで、俺も少しずつアイツのことを信用するようになっていたんだ。
きっと噂は噂なんだって。
…だけど、アイツは盗みの為に俺たちの家に入ったんだ」

