逃げているんだ、また。 傷つけるのが怖いなんて言って結局、自分が傷つくのが、一番怖い。 完全に「領域」に踏み込もうとすることで、トキが離れていかないか、もう一生、この関係が何なのかもすべて、分からないまま、消えてしまわないか。 ぎゅっと目を瞑る。 無理矢理体を起こして、椅子から立ち上がり、鞄を肩に下げて 誰も居ない放課後の教室をあとにした。