少し動いただけでもギシギシと悲鳴をあげる小さなベンチに、並んで座る。 お互い何も言わないまま、ただ時間だけが過ぎた。 辺りはすっかり夜の景色で、私たち以外には誰の影もないこの公園は、何だか余計にその「寂れた」感を増していって。 けれども、ライブハウスでのあの時に生まれた、私の心の奥の黒いもやもやは、辺りが暗くなればなるほどに、薄れていった。 そうして、電灯の光が一度瞬いた時だった。 「清水のことで、なんかあったのか……?」 遠慮がちにそう問う、佐伯の声が隣から聞こえた。