スタッカート


外の空気は、予想以上に冷えていた。
乱れた呼吸を、肩で息をして整える。

どうしてライブハウスを出てきてしまったのか、自分でも分からない。
ただ、頭であれこれ考えるよりも先に、体が勝手に動いていた。

背後から、海陽くんが私を呼ぶ声が聞こえた気もしたけれど、もう止まれなかった。

心臓が、ばくばくと音を立てて、忙しく胸を打ちつける。
胸を押さえながら、とぼとぼと、冷たいアスファルトの上を歩いた。

雨が降ったのだろうか、鈍い光の海が、そこには広がっていて。


一瞬冷たい風が吹いて、何故か、また胸がきゅうっと締め付けられた。