振り返るとやはりそこには鬼のような形相をしたトキ。
涙目になって私は訴えた。

「こ……殺さないで」


「あ゛?」

さらに眉間にシワをよせトキが言った。

「頭大丈夫かよあんた…怪我もしてんだろ」

深いため息をついて、私を見下ろす。

「どこが痛いか言え。」

「…ど…どこも痛くありません」

「……言え」

「背中と足と右腕が痛いです…」

逆らったら本気で殺されると思った。
立っているだけでも物凄いオーラを感じる。この威圧感。……猛獣?


トキはまた深くため息をついて、私の腕をつかんでソファに座らせ、棚の引き出しから湿布を何枚か取り出して私に無言で渡した。

「あ……ありがとう……」

そう小さな声でお礼を言った私を眉を下げ少し困ったように見つめ、自分はソファに座らず、少し離れたところの床に腰を下ろす。