正直、聞き間違いかと思ってしまった。


…あの、佐伯が。

いつも仏頂面で、私の事を毛嫌いしているようにも思える、あの佐伯が

……こんな言葉を、かけてくれるなんて。


佐伯は言葉を言い終えたあと、目をぱちぱちさせた私と目が合うと頬の端を少しだけ赤くして


「早く行かねえと、練習時間が無くなるぞ!」


と、私の肩を強い力で押した。