チャイムの音に、私の顔を覗きこんでいたトキは、顔をパッとあげて。
校舎を見上げると、短く息を吐いて言った。
「……六時だ」
その言葉に、私は目を見開いて、あ、と小さく心の中で声を上げた。
―あの三人が部室を使えるのは6時までの一時間だから―
たしか、ハチさんはそう言っていた。
ということは、これからの時間はトキたちのバンドと海陽くんの練習時間ということで…。
目をトキのほうに向けると、彼は不機嫌そうな顔で、パイプイスから立ち上がって、ギターを抱えてイスにすわったままの私にちらりと視線を向けて、ぶっきらぼうに言った。
「……いくぞ」

