……今の私にとっては、それが一番難しく、意識すれば余計に体が凍ったように固まってしまう。
ただただ、触れられている指先が熱かった。
そんな自分は自分ではないみたいで、こうなる理由もわからない。
―どうして。
そう、自分自身に問いかけるけれども、答えは返ってこなかった。
動かない指を怪訝に思ったのか、トキが真正面に移動してきて、しゃがみこんで私の顔を覗きこんでくる。
「気分、悪いのか?」
そう、藍色の瞳が真っ直ぐに私を捉えて。
心臓が、大きく跳ね上がった。
―それと同時に
校内に、チャイムが響き渡った。

